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2015年3月

2015年3月31日 (火)

でいりーよみもの「新世界物語」32

もう読んでくれた?(うぁぉ、何て図々しい台詞でしょ~)

んでんで、文末のバナーにぽちっとしてね~(図太さの極みっ)
でも、結構そこそこ面白いと思ったりしてて(追い打ちの図々しさ!)
それにしても急に桜が満開で、3男君の入学式までもつかいな?
ひらひら花弁が綺麗かも?

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(32)

 その日は、朝から曇っていた。雨が降りそうなほど薄暗い曇り方ではなくて、時には雲の切れ間から日の光が零れるような、そんな薄雲りの天気だった。それは、フードを被って人相や髪の色が分からない鈍い玉虫色の集団が、何となく都会の色合いに紛れてしまうような丁度いい光加減であった。

「ちょっと、そこの影達!ぼさっとせずにここを掃除して」

 十人程度の鈍い玉虫色の集団は、120㎝くらいの身長しかなく、整列して動いている様子は街を掃除して歩く影にしか見えなかった。お蔭でその声掛けに驚かされはしたが、誰の目につくこともなく見咎める者もないまま、するすると色々な建物に吸い込まれて行った。

 そうした建物の一つに、多絵と李紗に伴われた淵議員が表敬訪問に向かっているところだった、

 李紗の運転する黒塗りの高級車が、建物の正面に静かに着けると、自動扉を抜けて来たのはドアマンと駐車係だった。多くの場合、見栄えを重要視する建物のオーナーがそうした人員を影ではない人の職分としたため、淵議員を出迎えたのもガードマンを兼ねたような逞しさと品の良さとを兼ね備えた二人だった。

 会釈のような挨拶をして顔を上げた時、多絵は李紗の横目の先にどきりと心臓が鳴った。平静を保たねばならない。ドアマンの肩越しに、集団の影が音もなく向う側のドアから入って行くのが見えた。ハッと駐車係を見ると、李紗がキーを手渡すために視線をそらしているのが目に入った。

 こんなところで不審を買っていてはいけない。影の集団の動きにも多絵のような協力者の動揺も、為政者側に疑問を抱かせてはいけない。

 

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2015年3月30日 (月)

でいりーよみもの「新世界物語」31

母ちゃんの小説読んで文末のバナーぽちっとしてな~(*^^)v

ところで、先週3男君が小学校を卒業してぼーっとしてたのに
もう中学の入学準備をしなくちゃなんないのよね~
4月4日が入学式なんだもん(^^ゞ(^^ゞ(^^ゞ
大丈夫かしらん?

世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(31)

「議長、半月分の調査結果をご報告します」

 穏健派の長の不安を払拭するのに、議長が雇った調査員は、淵議員の半月分の行動記録を読み上げようとした。

「待て。まさかその分厚い記録を全部読み上げるつもりのなのか?勘弁してくれ。かいつまんででよい」

 言いながらうんざりした。与党の大物の頼みとはいえ、これを私も確認する必要があるのだろうか。しかも、どのくらいの期間、こんなことを続けなくてはならないのか。

「……ほぼ決まっています。議会、パーティー、娯楽、スポーツなどを日々決まった順番で従順にこなしている感じです。お金持ちって案外つまらない人生ですね」

「君の感想はいい。では、特筆すべきことはないのだね。妙な集会に参加しているとか、利害の一致しない人と会合しているような、」

「目ぼしい動きはなかったかと」

 以前の淵議員を知らないから、比べようもないと言う前提が目くらましになってしまっていた。調査員の言葉に、生きた人間としては不自然な部分があっても、金持ちの優雅な生活としてしか理解できなかった。そのせいで、もう半月分調査していながら、変だと思った微かなひっかかりも看過してしまって追加項目の調査などしなかった。

 不穏な空気に気付きながら、残念なことに、それを調べて解明するだけの危機意識が希薄に過ぎた。

 こうして支配層は、何の心積もりもないまま何の準備もしないまま、影達の決行日を迎えることになってしまった。

 一方、影達は巨大な敵を相手にするのだと、二手も三手も先を見越し、不測の事態にまで対応できる準備に余念がなかった。

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2015年3月29日 (日)

でいりーよみもの「新世界物語」30

急に桜の花がほころんできました(*^_^*)

どこを向いてもほっこりしますね~
かわいいお花達をみて幸せな気持ちになった方
母ちゃんの小説読んで文末のバナーをぽちっとしてね

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(30)

「淵議員が妙な提案をして以来、どうも落ち着かない気がするのだか、君はどう思う」

 そう議長に尋ねたのは、穏健派の長と言われた男だった。有名ブランド仕立てのスーツをぱりりっと着こなし、ロマンスグレーの豊かな髪をオールバックに撫でつけた男は、一見軟弱な洒落者に見えるが、何を考えているか分からないと評されるように、脳内で行なわれている活動はどうやら人より活発なタイプのようであった。

 グレイがかったブルーアイが、思慮深気に細められた目蓋の間からきらりと光って、議長の童顔に緊張が走った。(睨むなよ)と子供染みた言葉遣いで、心中、悪態をつきつつ問うた。

「何かお気付きになったことでも?私には、この議案によって起こった騒ぎは、寧ろ平穏に飽きた皆にとってよい刺激になったいるので、お祭り騒ぎしているだけに思えますな。影の登録なんかが終わってしまえば、また静けさが戻ってくるのでないですかね」

「それだけだろうか?私達は、あの提案の何かを見落としていたりはしないだろうか?何か不安なのだ」

「淵一族は欲は深いですが、分を越えて権力を欲するタイプではないと思いますが。どう不安なのですか」

「あのやり方は、淵君の考えたことだろうか?今迄の彼とは何か違う。違和感を覚えるのは考え過ぎなのだろうか」

「私は議会での彼しか知りませんので、きちんと比較ができません。何かご不安があるようでしたら淵議員の周辺を調べましょうか」

 穏健派に属する議長は、長の杞憂に過ぎないだろうとは思いつつ、相談を受けながら何も対応しないで事が起きてはいけないと、調査を請け合った。

 

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2015年3月28日 (土)

でいりーよみもの「新世紀物語」29

電話をどこ○光なるものに、とりまとめようとして

どこ○ショップに行って来た。
何だか書類が多すぎて頭がぐりんぐりんしてる(◎o◎)
電話で脳ミソが光っちゃってるあなた♪
小説読んで文末のバナーをぽちっとしてね~

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(29)

 人の第六感というのは、何時の間にかインプットされた常識や普段の光景といった情報を物差しにちゃんと不自然を感じ取る優れた能力だと言えよう。

 影達が極めて上手に影の脱羊化を進める一方で、為政者側の要に羊化を施していく過程で、違和感を感じた支配層が、実はかなりいたのである。その第六感によって、不穏な空気を感じ取っていた人間はいたが、具体的にどう対応すべきなのかが分からなかったために、掻痒と、疑わしい能力しか備えなくなった警備を無駄に投入したりするのみに留まってしまった。折角感じながら、危機感が希薄になり原因をきちんと追求する姿勢に欠けた彼等は、誰を相手にすべきか、何を準備すべきか、想像することすらしなかったのである。

彼等が不穏な空気を感じるのは、影達には歓迎せざる傾向であったはずだが、隠密行動に向いた影を集めるなど想定内として手筈が整えられていた。

さて、決行の日の為に、武器として準備された道具は二つ。一つは既に強硬派議員を支配下に入れるために利用された幾つもボタンのついた銃型の器具。

もう一つは、一旦相手の動きを封じるための道具。形状記憶合金を素材にした細いひも状のそれは、普段服の襟やベルトに仕込まれているが、引き出して僅かな刺激を与えるだけで、細長い針に変身した。そうして、いわゆる鍼治療の要領で、幾つかの急所に鍼を打つことで、行動を制約するのであった。

 支配層の明瞭な根拠なき不安が大きな障害にならないよう細心の注意を払いながら、準備は着々と進められた。

 決行の日は、刻一刻と近づいていた。

 

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2015年3月27日 (金)

でいりーよみもの「新世紀物語」28

ちょっとずつ桜が咲いていますね~

春がきた感じがします
しゃて、母ちゃん春のチャレンジも大詰めです
今回もバナーにぽちっとお願いしまァす(^_-)-☆

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(28)

 以前を知る者が見ても、世界は少しも変わっていないようであった。影達が羊としての役割を寸分違わずこなしていたからであり、性格上、若しくは演じることに抵抗のある者は、その役目からはずされていたからでもあった。

 とはいえ、多くの人間が一つの目的に向かって集団で動くには、あまり長い時を掛け過ぎるとすべきことがうやむやになりやすい。また、それなりに生活が安定してしまうと変化への抵抗を心理的に抱くようになってしまう。

 だから、全ての影のコンマを発動するのに3ヶ月かかったのは、極めて絶妙なタイミングであったといえよう。その間にも各地で着々と準備が進められていたので、計画が実行されるのに、それからそう待つことはなかったから。

 影達は、人としては極めて簡素化された存在に貶められていたので、服装や髪形は実に画一的であった。最もスタンダードな服装は、体温保持に優れ多少の衝撃なら吸収してしまう素材で作られた鈍く玉虫色に輝く首から足首まで一枚布の繋ぎであった。短い髪をフードの中に押し込んでしまえば、多分遠くから見ると、その集団は小さなブラシか針山に見え、個人を識別するのは難しいと思われた。おそらく、事に当っては小さい集団で動くことが円滑に進める鍵になるだろう。

 目標の建築物に入り込むのに必要な道具は、住居侵入を得意とした元空き巣や泥棒達の智恵によって、ロックをはずすものなど七つ道具が決められた。

最も選定に時間がかかったのが、武器であった。そもそも武器が必要なのかというところから、互いに譲らない議論が続いた。だが、武力で制圧することは、歴史上最も簡単に為政者交代を可能にするが、大抵弾圧に繋がることから、羊化に要するモノのみと決定した。

 

 

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2015年3月26日 (木)

でいりーよみもの「新世界物語」27

ついに小学生が我が家から消える日がやってきた

長い長い14年間(17年の人もいるけど)どしたぁ~
お蔭で、門前の小僧で校歌が歌えちゃう^m^
小学校の校歌が歌えちゃう貴方も
最後まで母ちゃんの小説読んでバナーをぽちっとしてね♪

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(27)

「あらまぁ、何よ、私に振られたことは覚えていたくなかったってこと?」

「え、いや、まあね、覚えてなければリトライしやすいだろ」

「もう、リトライしたって結果は記憶と同じよ」

「そんなに即答しなくても……」

「やだ、話しがどんどんずれて行っちゃうわ。私達ってば、言いたかないけど恋愛関係になるのが難しいってことは変えられないでしょ?いくら長命になったとはいえ、私はアナタの母親ほど年が上なのよ」

「大した差じゃないさ。今の時代ならね。まあ、そんなことは何れ語らうとして、どうする?かつての名前のままでいきますか?新しい名前でもいけますよ」

「そうね、元の主人は名前で呼んでくれてたのよ。だから、こうなったのを知って欲しい気もしてるのよ。以前の名前のままでいこうかしらね」

「00……573は、茅野根泉深(ちのねいずみ)、と」

「じゃ、先ずはアナタ達の活動の歴史を学んでおくわ。アナタはせいぜいコンマと格闘してちょうだい」

 辛辣な口調とは裏腹に、限りない優しさで科学の力を人の役に立て続けた彼女ならば、この活動の成功にも、その後人々がどう生きるのかを示すのも、きっと皆の心に響く言葉を使って、そして当然その科学への飽くなき探求力によって、道を示してくれるに違いない。

 恋心はおいても、彼女への信頼感は年を経て尚色褪せることなく鮮やかである。何とも清々しい気分で疲れが吹き飛んだ。この先、まだまだコンマと格闘しなければならないけれど、こうして1人また1人と強力な味方が目覚めるかと思えば、その苦労も報われようものである。

 そして、全ての対処が終わるのに、3ヶ月を要した。

 

 

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2015年3月25日 (水)

でいりーよみもの「新世界物語」26

今日は、3男君の小学校卒業式

「最後だから」を合言葉に、遊びまくってるなぁ
まあ、そんなもんかな?
でも就職直前の方がそういう気分になったような?
ま、いいや、卒業式を懐かしく思い出されたら(関係ない?)
母ちゃんの小説読んで、文末のバナーをぽちっとしてね~

新世界物語

 

作:二ツ木 斗真

始まりの話(26)

「羊化……ね」

「そうだ。ただ、脂肪を縮小したように人を小型化するためには、身体の縮小が脳や神経にマイナスとなる影響があってはならないと、脳の研究が進んだ。そのことで逆に羊化が可能なことが立証されてしまったんだよ」

「そうね、皮肉にもアナタによってね」

「だが、その時に先生は先の事を見越していたんだよ」

「先の事?」

「ああ、命じられた通り羊化を付帯して実行したかのようにみせかけて、羊化によって外された様々な情報をこの腕に焼かれた数字の最後のコンマに仕込んだのだよ」

「また、危ない綱渡りを……コンマなんて疑問を抱かれたらどうするのよ」

「ちゃんとね、先生らしい言い訳を考えてたんだよ。笑っちゃったけどな」

「何?」

10桁で足りなくなったら、,の右側に数字を足すって」

「あーははははっ、無理があるわよ。誰か1人くらいは気付いたんじゃないの?」

「どうかな、人の欲とは底知れないから。羊化が可能になったことで生じる各種の可能性に目を奪われたようだ」

「なるほどね~。欲が盲目にしたのね。典型的だわ」

「彼等には不幸なことに、だがこちらにとっては好都合」

「で、いつアナタは戻してもらえたの?」

「先生は私が事故で復元できない傷で死んだことにしてくれたんだ。その準備に2年ほどかかったようだ」

「記憶ももどったのね」

「覚えていたくなかったことまでね」

と、ジェフは軽くウィンクして見せた。

 

 

 

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2015年3月24日 (火)

でいりーよみもの「新世界物語」25

寒の戻りで寒いって

お風邪など召されぬようお気をつけてね
あったかくして、母ちゃんの小説読んでちょ
そして、文末のバナーをぽちっとよろしくぅ~

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(25)

「そう、アナタは誰のところに送られたの?」

「僕はね、この技術を発明した研究者付きだったよ。影1号ということで、彼が手放さなかったんだ。ある目的をもってね」

「その話、聞きたいわ」

「21世紀後半、人間の科学技術は飛躍的に発展したのは君も覚えているよね」

「ええ、もちろん。私達はその研究の一つの成果を築き上げたのですもの」

「そう、一つは君も携わった延命、そうしてもう一つは、彼がまとめ上げたアンチセコイア計画」

「言葉は選ばないと。だって、元々どちらも美容のために研究開発されたのですもの。老化防止とダイエット」

「うむ、そのどちらもが当時現実的になっていた『人口飽和』『食糧不足』『自然破壊』に歯止めをかける役割を果たせるかもしれないと注目されたんだ」

「『生殖能力を低く保てば平均寿命を延ばし老化を軽減することができる』とか『1人当りの容積が小さくなれば酸素使用量が減り、食料の消費も減る』とか言ったこと?でも、明確な優位差は出たかしら?」

「どうだったかな。細かいことは忘れたけど、ここで重要なのことは、科学的根拠はともかくも、それを人々が信じてそうすると決めてしまったことだよ」

「そうね、止められない潮流が生まれていたわ」

「程なくして、二つとも技術的に確立され、人体での実験段階に入った。老化防止は難しくなかったし、今も問題はないだろう。だが、アンチセコイア計画は、研究途中に発見されたある副産物のせいで、歪んで行ってしまったんだよ」

 

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2015年3月23日 (月)

でいりーよみもの「新世界物語」24

先週掲載した分に少し修正を入れたのですが

本当にそれでよかったかどうか悩んでるのです……(-_-;)
でも、沢山の方がそれについてのつぶにいいねを下さって……
理屈と感情、理性の感性、良心と正義感、、、色々考えちゃう
なので、いずれ、そのこととについても書いてみようかと思ったり(^^ゞ
悩み悩み、続けてます。ともかく真面目な小説なので読んでね

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(24)

「00……573、コンマ発動」

「記憶と思考力が戻った感想は後日にして、影の解放の為に働く団体に所属するか、当面主人の家に戻らないか、戻ってふりを続けるか選択は必要です」

 コンマ発動と同時に、そう告げたジェフを見て、その影は眸に笑みを含んだ。

 この女の影は、「1.」ことジェフが最もコンマ発動を待っていた人だ。だから、選択肢を提示ならがらも、その答えを聞くのが怖かった。

 彼女は震えながら自分の身体を見回し撫でまわした。それから、徐ろに質問者に顔を向けると、

「アナタってば。ジェフったら、生きていたのね。突然連絡が途絶えたから、自分から実験体志願して失敗したのかと思ってたわ。本当ならもう少し詳しい説明を聞きたいところだけど、とりあえずアナタに協力する方にしておくわ。何だか怪しげだけど、嫌な記憶があれこれ残ってるもの。許さなくてもよさそうなことばかりですからね」

 のんびりした口調のくせ辛辣なのは相変わらずだ。空白を感じさせないその言い方に、安心感を覚えながら、

「早速君が得意かどうか不明だがプロパガンダの方で協力してくれ。江君が主に担当しているから、後で紹介しよう。君の元主人へも別の影を送らないといけないね」

「ええ、ただ、私の元主人は人の良いお婆さんだし、もうそう命は長くないの。テキパキした若い人より、ゆっくりでよいから穏やかに接することの出来る人の方がいいわ。割と好きだったのよ。あの人のこと」

「そうか、君はそう悪くないところにいたのか。少しほっとしたよ。私が戻った時にはまだ影の情報も希薄だったし、影にとっては暗黒の時代だったからね」

 

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2015年3月22日 (日)

でいりーよみもの「新世界物語」23

連休にも予定なく、何となくぼーっと1日が過ぎてしまってます

昨日は、3男君の携帯の設定を確認しにどこもしょっぷへ
休日は込んでますね~、ちかれた
でも、帰りに寄った本屋さんで嬉しい購入が(^_-)-☆その内アップします
ささ、と~まと同じでぼーっとしてしまった皆様
小説読んで、文末のバナーをぽちっとしてちょ♪

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(23)

あっと言う間に書類が整えられ(言うまでもなく影達が事前に準備していたが)、法案の施行となった。全てのメディアを通して地球上のあらゆる地点に、その事実が周知された。もちろん、議会側からそうする利点が滔々と述べられたことは言うまでもない。

反発はなかったのか?支配する側にとって残念なことに、だが歴史的にも盲信と油断は常に彼等の最大の弱点であろう。影達が刃向かうなど誰が想像しただろう。疑問はあったとしても、それは寧ろ互いを牽制し合う程度の、そして影達にとっては隠れ蓑にすらなるものに過ぎなかった。

影の存在する全ての都市で、同様の決議が右に倣えで行なわれ、施行に伴って各役所で登録と手続きの準備がなされた。役所付きの影達の手によって。

素直に全ての支配者が従うのか?また、影の中にも現状維持を望む者がいるのではないか?

こうした疑念も確かにあった。だが、脱羊化を遂げた影達が、議論もなしに事を始めただろうか?単なる武装化集団ならばそうであったかもしれないが、知性集団であるゆえに、熟考と意見交換の末に、影の大勢が脱羊化を果たせば、後は個別に対応することが可能であり、脱羊化の後のことは自由を勝ち得てからのことだと結論づけ、先ずは羊化からの解放を目指したのである。

 それでも、なるべく多くの影のコンマを発動させておきたいことに変わりはない。役所での、登録、各種手続きは煩雑を極めた。

 それゆえ、全員のコンマを一気に発動すると混乱が生じるので、登録と予防接種のみのグループと、予め選り抜いた協力者となり得るグループに分けて対応した。

 

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2015年3月21日 (土)

でいりーよみもの「新世界物語」22

昨日は、3男君、小学校最後にして人生最後の給食

美味しかったかな?何にも考えてなかったりして(-_-;)
休日の今日、予定がなくて家にいるよ~な皆様
母ちゃんの小説読んで文末のバナーをぽちっとしてね♪

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(22)

 頭脳的な強硬派のイメージが既に定着している男の声は、怒号の中に在って鶴の一声となった。シンと静まり返った議事堂を、野太い男の大声が貫いた。

「犬や猫でも保健所に登録して病気やなんかの管理をするだろうが。人間に間近に仕える影達を病気や揉め事の種から守って管理することは必要だろうが。まあ、財産を守るために必要な項目じゃねえのか」

 がらっぱちなモノ言いが、人の反発を買うのは珍しいことではないが、この男の場合指摘の鋭さにおいても人を不快にさせることが甚だしく、賛同を得ることは稀だった。

だが、今この瞬間、男の言葉に成程と納得する貌が多く、一気に議案が可決される方向に傾いた。

 悲しいかな、この時代、損得勘定で動く人間が大勢を占めていたせいで、得になると計算した場合、大抵の場合碌な審議もないままに議案が通って間もなく施行されてしまうのが常だった。

 影達の思惑は、呆気ないほど簡単に達成されてしまった。もちろん、影達の準備が周到であったためであることも無視はできないが。

 議案は思惑通りその日の内に可決した。あとは実施する上での具体的な手続きを詰めるだけである。

 それぞれ担当の議員の後ろに控えている影達は、喜びに胸を震わせながら事の成り行きを見守っていた。

「これで全ての影のコンマの発動が無理なく行なえる」

誰の頭にもこの事実が浮かんだいた。それは、彼等がこれから行おうとしている自由への闘争の第一歩に過ぎないが、同時にそれなくしては何も始まらない。だからこそ今日のこの事態を綿密な計画を立てて、準備したのである。

 

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2015年3月20日 (金)

でいりーよみもの「新世界物語」21

花曇り、でしょうか、春雨でしょうか、、、

曇ったり降ったり、落ち着かないお天気が続きますね~(^^ゞ
母ちゃんの小説、小さい山が来てます
ぜひぜひ読んで、文末のバナーをぽちっとしてね(^_-)-☆

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(21)

 普段、議会で発言などはしないが、強硬派の一員とみなされていた男の名は淵偉律といった。淵一族は、元々世界の人口の5分の1、世界の土地の10分の1を占める大国において権勢を揮っていた。だから、羊化が始まった時、何の影響もなく寧ろ最も利を得る立場にあった。そのため、この議会においても、野党であることを隠れ蓑に淵一族は隠然たる力を保持していた。

 お蔭で議長のみならず皆が緊張した面持ちで淵議員を注視した。また、どんな無理難題を投げかけてくるものかと。その時「ではよろしいか?耳を傾けてよく聞くのだ」と、突然普段とは打って変わって、腹まで沁み渡る凛とした声が響いた。

「一つ、影は個人で所有してはならない

一つ、影は全て議会に登録しなければならない

一つ、影の健康管理は議会で責任を持つものとする

一つ、影の売買をしてはならない

一つ、影の生死を個人的に左右してはならない

一つ、影を個人的な理由で害した者は罰せられる

今回はこの6つを提案するものである」

 議会は騒然となった。当然の帰結とも言えた。影を羊化した時点で、その行為は何百年も後戻りして奴隷制を復活したものに過ぎなかったのだから。

「淵議員は、何と影の味方をすることにしたのか」「羊達にを与えても、その味に気付くとは思えん」「まさか!議会を影で牛耳っているのは淵一族だ。全て我がものにするつもりか」「我々の家にいる影まで奪うつもりか」

 怒号がまとまることはない。自分達の権利が損なわれることにのみ心を奪われているようだった。と、その時、

「奴隷ならば管理する必要があるだろうよ」

 

 

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2015年3月19日 (木)

でいりーよみもの「新世界物語」20

だんだん3月が終わりに近づいてきて

3男坊が小学校卒業と思うと、何やら感傷的な母ちゃんでぃ
節目を迎えて感傷的だわって、貴方っ
母ちゃんの小説読んで文末のバナーをぽちっとしてね♪
(段々勧誘があからさまになってきたわぁ(^^ゞ(^^ゞ)

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(20)

 やや浅黒い顔に愛くるしい丸い瞳、全体的に愛嬌のある相の議長は、議会が始まる前から飽きていた。

(どうせ今回も総統達の提案に反対する議員なんていないのだから、議会を招集する意味なんてあるもんか。やるだけ無駄なんだよ)

 最初からトップダウン式で命令を伝えればいいものを、何もわざわざお金と時間をかける必要があるのかと不思議に思う。体裁を整えることに一体どんな意義があるというのか。無力化した議会の長をまかされはしたが、一度も議論らしきものが行なわれたことはない。多分これからもないだろう。自分が飾りに過ぎないことにすっかり嫌気がさしていた議長は、今日を限りに辞職することを心に秘めていた。

だが、その決意が公表されることはなかった。

「それでは議会を始めますが、よろしいかな」

 問いに答えを期待しているわけではないが、毎度同じ台詞を発することで、習慣的に意識は集中する。あくびをこらえながら、議長は慣例に従って議事を進めた。

 その時予期せぬ事が起こった。普段は尊大に足を組んで座り、殆ど言葉を発することなく座し、終われば席を立っていく、不実な議員の1人が挙手し発言を求めた。

「淵議員、何か発言がおありなのか?」

「検討してもらいたい議案があるので、本日は発表のみしようと思うが、いかがかな」

「ええまあ、議事は殆ど終わってますからかまいませんが、長くかかりますか?」

「いや、全体で10分もあれば十分」

「では、壇上へどうぞ」

 

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2015年3月18日 (水)

でいりーよみもの「新世界物語」19

急に春めいてきました

25日頃には東京も桜の開花予想日ですね
急に幸せな気持ちになってきましたよん
母ちゃんと同じで春の幸せな気分な人は
文末のバナーをぽちっとしてちょ(^◇^)

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(1)

 かつてコントロールし易い影にするための実験段階で、脳波を測定したり刺激を与えたりするために、被験者にかぶせたターバンのように見える白いウェアラブルセンサーを髪も眉も目すら隠れるくらいスッポリと被った「1.」ことジェフは、茶目っ気たっぷりに、同志向けに語り始めた。

「この通り白ターバンで調整中のジェフだよ。多絵、御察しのとおりだ。今日の議会では、多絵と李紗が担当の男から議案が提出される。その後の議論で私が担当している男が果す役割がすごく大事なんだ。それで出張ったのだが、私がいるからって緊張することはない。リハーサル通りに落ち付いて、それぞれの担当をフォローしてくれ。以後暫く連絡は控えるが、私のイヤホンには皆のやりとりが受信されるようになっているから、不測の事態が起きた時にはとりあえず私を頼りなさい。じゃ、古い言い回しだが、グッドラック!」

口々に「グッドラック」と返す声が続くと、程なくイヤホンからは何の声も聞こえなくなった。そして、いやが上にも皆の緊張感は増していった。

「本当にもう、ばれたらどうするのかしら?」

「議員さん達は、ジェフがまだ生きてるとは思ってないでしょうから、大概は大丈夫でしょうけど、大胆よね。ほんとに、ジェフには脱帽だわ」

「影の中でもあそこまで大胆で勇猛なタイプは少ないを思うわ。怖い物知らずの子どもみたい……」

「でも、あんなふうにリーダーに冗談口がたたける余裕があれば、私達は冷静になれるわね。乗せらた感はあるけど、さすがよね」

 2人は緊張は胃の腑に吸収されていくように感じ、落ち付いて事にあたれそうな予感に満たされた。

 

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2015年3月17日 (火)

でいりーよみもの「新世界物語」18

どんどん順位が落ちて行くぅ~♪

どうすりゃいいのぉさぁ♪
でも、回りの作品に迎合したり節を曲げたりしては
もっとダメダメよね(>_<)んがっ、頑張るっきゃねぇ
にゃので、またまた文末のバナーをぽちっとよろしくなのだ

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(1)

 多絵はその的確な質問に、羊化以前の男を思った。確かに尊大で傲慢、頂けない人間だったけれど、頭の回転は速かった。それが失われていないことに一抹の不安を感じながら、答えた。

「私とこの影がお傍に控えています。対応が難しい場合は合図してください。すぐ携帯に情報を送信します」

と、男の左耳に掛けられたイヤホン型携帯を指した。

「ああ、了解しました。返答に詰まった時はイヤホンに手を掛けるので、ご回答ください」

「ええ、安心して。頑張ってください」

 姿勢を整え軽く会釈すると、男を議席に送り出した。

別の場所でも同じような遣り取りが行なわれているはず。羊化した議員数を把握しているわけではないが、強硬派というと少なく見積もっても十数人はいるはずだ。その全員に秘書と影がバックアップしているのだから、流れを作るのはそう難しいことではないだろう。きっと成功するに違いないと考えていたら、李紗が小さく叫んだ。

「なんてこと、ジェフったら」

「1.」の本名がジェフリー・ブルックであることは、支配階級を始め知らない者はいないので、多絵は李紗の声にぎょっとして見下ろして囁いた。

「ど、どうしたの?名前はだめじゃない」

「野党第2党の党首の傍を見て。頭に白いウェアラブルセンサーようなものを巻いた影がいるわ」

「まぁ、自ら?あの党首が要ってことね」

その時、2人のイヤホンに別の声が割って入った。

「私だ。今は同志達のみにつなぐ回線を使っているから、心配するな。情報が私に集中するようこのかぶりものに色々仕込んであってね」

 

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2015年3月16日 (月)

でいりーよみもの「新世界物語」17

洗濯物を外干しして、しまったら

くさみがとまんにゃぁい、へくさんっ
あい、花粉症でだり~な気分の方、
母ちゃんの小説を読んでバナーをぽちっとしてね♪

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(1)

「いいけど?」

 多絵は助手席からでちょっと不自然な姿勢になってしまったけれど、右手を差し出した。李紗は、車を路肩に停めると、真っ向からその手を両手で包み双眸をしっかり多絵に向けた。

「多絵、私は貴女を心から信頼しているわ。だから貴女も私のことを信じて。まだお互いの行動の予測がつく程の関係にはなっていないけれど、最強ペアとか呼ばれるくらいの絆をつくりたいと心底思ってる。覚悟してね」

「まあ怖い。うふふっ、でもね、私も貴女と強い絆を結びたいわ。事が成就するには色々なものが不足している私達だもの。せめて人間関係くらいは切れないくらい強い結ばれ方をしていないとね」

 力強く見詰め合うと、今日の議会での提案を第一歩に始まる改革の成功を改めて心に誓った。

「議会まで後5分です」

抑揚はないけれど、2人で会話していた時とは雲泥の大きな声で李紗が時を告げると、車内にぴりりとした緊張感が漲った。羊化したとはいえ、男の能力を侮ってはならない。どんな言動が今まで通りの為政者達の疑念を呼び醒ますか分からない。しかも、女2人の関係も気付かれてはならない。

車は議会の駐車場に滑るように停まった。

「さあ、私達の仕事が始まります。タブレットに掲載された議案は網羅できましたか?」

「はい、量的には多くはないので覚えました。ですが、質疑応答になった場合の模範回答が少ないように思えます。掲載されていないような質問の場合どうすればよろしいでしょうか?」

 

 

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2015年3月15日 (日)

でいりーよみもの「新世界物語」16

アレルギー婆な母ちゃん、この季節は薬を飲んでいても

ぐ・る・じ・い~。特にお腹はぐるぐるぐるぐる、で、
花粉症でダウンしている貴方♪
気分転換に母ちゃんの小説読んで
文末のバナーをぽちっておしてね~^m^

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(1)

 過去の記憶に彷徨っていた多絵の耳に、遠慮がちに李紗の声が響いた。ちらりと後ろを見ると、男はまだ熱心にタブレットを読みあげているから、李紗ともう少し話しても大丈夫だろう。李紗は多絵が聞きとれなかったのかと、もう一度尋ねた。

「2人でいる時は、ほんとに多絵って呼んでもいいの?」

 人間とはおかしなもので、見下ろす立場と見上げる立場になった時、本来抱かなくてよかったはずの感情が芽生えることがある。この場合、羊化を伴っていなくともその物理的な力関係によって、影を子ども扱いしたり、見下す立場と額づく立場とにすり替わってしまったりしてしまいがちなことである。李紗のそうした不安気な様子に、

「李紗ってば、貴女がそんな風に卑屈な言い方するなんてありえないわ。見た目に振り回されないで。私達は対等な同志なのよ」と、多絵は咎めた。

「そうね、そのはずだし、今迄こんな風に謙った気分になることはなかったのよ。反発する気持ちが何とかそういう心情に自ら迎合することを阻んでいたみたいね。多絵の泰然とした態度に、まるで血が僕であるよう呼応したみたいだったわ。危険なものね。人って環境や立場や体格で、本能的に強者に従おうとするのかも」

「防衛本能の一種かもね。でも、それでも人は対等でないといけない。強者と弱者の関係を主従関係に置き換えてはいけないのよ」

「ええ、少なくとも自ら額づくことを選択してはいけないわね。そうでなくても、羊化によって影は従うことを強制されているのだもの。ね、改めてもう一度握手してもいい?」

 いずれにせよ李紗とはよい友人関係になりたい多絵はその願いにすんなり応じた。

 

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2015年3月14日 (土)

でいりーよみもの「新世界物語」15

あきらめないグッドファイトで掲載中~♪

土曜日の予定がないあなた、母ちゃんの小説読んで
文末のバナーをぽちっとしてね

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(1)

 その影は、他の影とは明らかに違っていた。

「1.」の第一印象はそれに尽きた。それはそうだろう。影であるということは即ち羊化されていることに他ならないと誰もが信じ込まされていたのだから。当然多絵の彼に対する疑問もそこから出発しようというものである。

「あ、あの、どうしても伺いたいのですが、貴方は影なのですか?それとも遺伝なのですか?」

 多絵に影を馬鹿にするつもりは毛頭ないが、失礼を承知で確認しなくては次の質問を続けられない。また、その姿が裏付けというのなら、言葉など必要ないだろう。

「ふむ、私の知性は遺伝によるものではなく多くは努力によるものだと信じているが、少なくとも影に見えるこの容姿は遺伝ではない。私は羊化を伴っていない最初の影なのだよ。だから、可能であることを示す最も強い証拠が私自身だと言えるだろうな」

「どうすれば、私の家族を元に戻せるのでしょう?せめて羊化を伴わない影にするにはどうしたらいいのですか?それとも為政者の都合というのを何とかしなければ、羊化をどうにもできないのかしら……」

「それらの疑問に一つ一つちゃんと応えたいところだが、こうした場所で滅多な発言はしない方がよかろう。どこに監視の目や耳があるか分からないからね。もしも君に興味があり、もしも我々の活動に加わる意志があるのなら、私達の同志にならないか?」

「それは影にならないとダメですか?」

「いや、色々な人がいるが多くはまだ元の姿のままの人達だよ。君のようにやり場のない怒りを抱えて、現体制に疑問を感じて集まった人達だよ」

 「1.」に誘われるまま、多絵の道はその時決まった。

 

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2015年3月13日 (金)

でいりーよみもの「新世界物語」14

むむっ、今度のお話は前のより読んで頂けてるような気がする

でも、相変わらず何やら思いきりがよくない気がする
でもでも、頑張るのだぁ~
だから、文末のバナーにぽちっとよろしくね♪

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(1)

 彼女の名前から祖母を思い出すと、記憶はどうしても「1.」との出逢いを辿らずにはおれなかった。

事態が勢いを増すにつれ、疑問を感じる人も抵抗する人も、気がついた時には残っていないとしか思えないほど、支配層の力は絶大だった。抵抗組織を作り上げるだけの知性を羊化にすることで奪われてしまった影自身が、そうした活動が出来るとは誰も思わなかった。未だ影にされていない人々が組織化するにも、絶望のあまり途方にくれていた。まして、何も持っていない一介の大学生に何が出来るのか見当もつかなかった。

 あんな家族を見ていたくない、こんな世界に1人で生きていたくない。思うほどに自殺願望が募った。

 死んでしまいたいと、心底思っていた。だから、あの日高い建物から飛び降りようとして、街を彷徨った挙句、ふと目についた陸橋の螺旋階段をふらふらと上って、欄干を乗り越えようとした。

その足にしがみついて止めてくれたのが、「1.」だった。

「死ぬ勇気を絞るくらいなら、何としても家族を取り戻そうとは思わないのか?」

 もう家族の手に抱かれることはないのだと思い込んでいた多絵の脳裏に光が差し込んだ。

「え?元に戻せるの?」

「実体として存在している限りは、元に戻す方法はある。肉体的にはそのままで知性や何かの能力などソフトに当るところは、もっと優秀にした挙句、そもそものレベルの何十倍もしそうな程度の頭脳を授けることが可能だ」

「なぜその情報は公開されていないの?」

「今回の事を起こした為政者達には都合が悪いからだろうな」

 

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2015年3月12日 (木)

でいりーよみもの「新世界物語」13

昨日は、3.11東日本大震災から4年が経ちました

まだ昨日のことのように思い出されます
復興もまだまだ……
さて、今日もお話読んんで、ぽちっとしてね

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(1)

 力のない一般家庭は、有無を言わさぬ公権力によって集められ施術されてしまった。意識のないまま羊化し影となって労働や使役に従事した。

 全世界の至るところで、力を持たぬ、多くは貧しい人々が影にされてしまったのだ。

 そんなこととはつゆ知らぬ多絵は、連絡のとれなくなった実家を心配して、アメリカから慌てて帰国した。

 祖父母も、父母も、実家にはいた。いたけれど、既に家族としての家庭としての存在意義を失っていた。玄関から駆け込んだ多絵を見て、4人は怯えて額づいた。

 最早、家族と多絵の間には大きな壁が存在して、過去の想い出すら奪われてしまっていた。容姿が損なわれていないことが、却って哀しみを強くした。

 小さく怯えた影の群れ……多絵の故郷の人々の変わり果てた姿だった。

 全ての問題解決策として鳴り物入りで全世界に喧伝された技術ではなかったのか?この恐ろしい現実を伝えるメディアはひとつとしてないのはどういうことだろう。人としての生気を奪ってしまったのに、それは終ろうともしていないのはなぜなのか。深い喪失感の中で、思考は堂々巡りを繰り返し、怒りのやり場を捜さずにはおれなかった。そして、影となった姿を思い出したくなくて、彼等の名前をなるべく頭から追い出した。

だが、多絵にとって祖母の名は特別で、「貴紗(キジャ)」と言う朝鮮半島系の祖先に由来する音にほのかな郷愁があった。だから「李紗」と聞いた時の痺れるような感覚は他の誰にも理解はできないだろう。そう思えば、もう今は亡い祖母をしんみり思うことで、新しい知人とも何か縁なのか運命なのかを感じてしまうのであった。

 

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2015年3月11日 (水)

でいりーよみもの「新世界物語」12

三寒四温というけれど、今は当にそういう時期でしょうが

異常な降雪で被害を被っている土地のことを思うと
この程度は大した変化じゃないなと思うにゃ(ノω・、)
さて、お昼休みになったら時間があるという貴方っ!!
母ちゃんの小説を呼んで、文末のバナーをぽちっとね(^_-)-☆

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(1)

 「……江、江李紗(ペク・イシャ)。李紗でいいわ」

多絵は、影が江李紗と知ると、単純により一層親しみが湧くと同時に、奇妙な既視感を覚えた。

 多絵の家は、当時日本と名乗っていた国の地方公務員の家系だった。民主的な世の中とはいえ、教育格差なるものが蔓延した社会に在って、相応の財力がないと有名大学への進学は難しく、それはそのまま就職先のレベルへと繋がっていた。

 それでも大抵の日本人は、そこそこの生活環境を手に入れ、ほぼ満足に暮らしていたので、財閥などとの格差があってもあまり不満を抱かずに生きていた。

 そうした平凡な家庭のひとつに多絵は生まれた。都心に曲がりなりも家を構え、祖父母、父母ともに真面目に地元の官吏の務めを果たしていた。

 1人っ子であった多絵は、幼い頃から頭が良く、性格的にも穏やかで責任感が強かったので、地元の小中高と優等生で通った。そのため、優等の成績で大学進学が決まり、アメリカに留学するまでになった。

 一家の悲劇は、多絵の留学中に起こった。

 折しも、前世紀の地球は多種多様な環境問題を抱えていた。人口の爆発的増加による食糧難、燃料難、自然破壊。前世紀から勧告され続けた問題が一気に吹き出し、人々はその早急な解決策を求めた。

 危機的状況は人の判断を狂わせる。その時の地球規模での問題は、指摘が始まってからの年数をあざ笑うかのように、数年で爆発して、悠長な議論をする余裕を失ってしまっていた。

 提案を精査し吟味することなく、その利点のみに目を奪われて、結論が出されてしまった。

 

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2015年3月10日 (火)

でいりーよみもの「新世界物語」11

昨日の朝、次男君が強烈な胃痛で七転八倒

母ちゃん、どうしていいやら~(°°;)))オロオロ(((;°°)~
学校に電話するのも、病院の救急外来に電話するのも
あわあわ、、、焦ったぁ~ι(´Д`υ)アセアセ
あんなでかいの、よう運ばんわい(;´д`)トホホ…
でもでもでもっ、連載は頑張らなくっちゃね(^_-)-☆

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(1)

 前に並んだ2人の女は、タブレットを見ながら無心に読みあげる男を無視して、小声で話し合った。

「ねえ、これ。貴女ってば『12.』なのね。じゃあ、開発者集団の1人だったの?」

「……」

「ごめん。話したくなかったのね」

 ちらっと女の表情を見ると、影はふいに語り始めた。

「いえ、いいわ。これから生死を共にするのに知っておいて欲しいから、喋っておく。手短に言うと、元々開発者集団は50人程度で構成されていたの。例の技術は動物実験での成功を踏まえて、犯罪者達に人体実験する段階まで進んだところで、世間の知るところとなり『人権侵害』だと苛烈な追及を受けざるをえなくなったの」

「ええ、そこまでは歴史的事実として知ってるわ。それで、仕方なく開発者から被験者を募ったのよね」

「うん、そう。私には当時付き合っている人いたのだけど、同じ役割を果たす立場だったから、どちらか1人は出すべきだと言う、彼の気真面目な態度で志願するつもりだと分かったの。私がずるして被験者になったのに、その結果私が羊のように従順になった様子を見て、彼は死を選んでしまったの」

「貴女は……身代わりになったのね……なのに、」

 人を叩きのめすのに、人工的にかつ故意に行なわれたものほど、残酷なものはない。女は『12.』が巻き込まれた事態に、今立ち上がっている者達に共通した怒りと悲しみを感じた。

「ねぇ、『12.』。私達はこれから死すら共にする仲なのよ。本名を教えて。2人きりの時は、ちゃんと名前で呼びたい。私、白河多絵よ。多絵って呼んで」

 

 

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2015年3月 9日 (月)

でいりーよみもの「新世界物語」10

おおっ、順調に掲載できてますじぇ(^O^)/

月曜日がお暇な方は、母ちゃんの小説を読んでぽちっとしましょ
って、またあからさまな勧誘しちゃったぃ
でも、読んで下さるとマンモス嬉しいあるよ(^◇^)

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話(10)

 男は言われた通り自宅にタクシーで戻ると、風呂、睡眠と手順を守り、朝9時には起きて朝食を済ませて背広を着、女の来訪を待っていた。

 女と女の影が男の屋敷に到着した時、屋敷内は森閑としていた。今迄に数度迎えのため足を運んだことはあったが、もっと徒らに人に命令する尊大な夫婦の声が飛び交っていたような記憶がある。

影の1人が「別働隊が同様に羊化した」と言わなかったか。その通り多分成功したのであろう。2人の女は顔を見合わせてから、きっと前を向いた。

「議会に参りましょう。車の運転は今日からこの影が行いますので、顔を覚えて下さい。奥様とお子様は今まで通りの生活を送って下さい。ですが、お出かけの際には必ず影を1人お連れ下さい。よろしいですね」

 男とその家族が頷くのを確認すると、女は屋敷に住む影達に軽く会釈した。全員がそれに返した。

 もう後戻りはきかない。男を専用車に先導すると後部座席の奥に誘い、自分は助手席に座った。

 女の影は、技術者と言われていたが、運転手としての腕も中々のモノで、滑るように走り出した車内は、まるで小さな部屋のようにゆったりできた。うっかり心地よさに身を浸してしまいそうだが、議会で提案するものを男に理解してもらわねばならない。ゆったりした袖からくるくると細く丸まったタブレットを広げると、

「本日、議会でこの議案を提出してもらいます。今から着くまでの間よく読んで理解して下さい。時間は?」

「議会まで後40分程です」

 男が熱心にタブレットの中身を確認するのを、2人の女は見守った。

 

 

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2015年3月 8日 (日)

でいりーよみもの「新世界物語」9

昨日は寒かったですね~

寒いから今日もお家に籠ろうと思っているそのこ貴方♪
母ちゃんの小説を読んで文末のバナーをぽちっとしてね
なはははっ、あからさまな勧誘でんな^m^
では更新~)^o^(

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話()

 自分の呟きには無関心に背を向けて出て行く男のスレンダーな後ろ姿を見ながら、女はこれから始まることに胸が高鳴った。

「もう影達は何人制圧したのかしら?計画通りだと予定の1/4は昨日の内に羊になったはずだけど。まさか1号だけなんてことはないわよね」

「ええ、そんなはずはないわ。何か非常事態が起きているなら、何らかの連絡が入るはずよ。その連絡手段も幾つも準備されているから、知らせのないのは上手くいってる証拠よ。安心して」

彼女の存在を失念していたことに女は少々慌てた。

「いけない。貴女がいるのにあんな独り言を」

「いいの。気持ちが分かったから。細かい事情は今は聞かない。そんなヒマないもの。でも、あいつらに対する想いは一緒。心をひとつにして事に当れる。聞けてよかったと思ってる」

「そうね、これから詐欺師のように周囲の人間を操らないといけないのに、貴女と心をひとつに出来なければ上手くいかないわね。いつかちゃんと話す。ともかくよろしく」

「うん。じゃ、まずはお風呂に入って。その間に食事の用意を済ませるから」

「分かった。貴女もね」

「もちろんよ。乙女に汗臭いのは耐えられないわ」

「ふふっ、上手くやっていけそうね。食事の後、手順を確認しましょう」

 お互いに気心が知れて来たことが嬉しかった。支配する側と支配される側が歩み寄るのは、歴史上大抵の場合女子どもが最初に違いない。若い2人が打ち解けるのに、それほど長い時間はかからなかった。

 

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2015年3月 7日 (土)

でいりーよみもの「新世界物語」8

初めて、大まかなプロットしか決まっていない状態で

書き始めたのですが、今のところ、順調です
読み続けて下さっている方には深く感謝
初めて来て下さった方にも感謝
またまた、図々しく文末のバナーをぽちっとしてね(^◇^)

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話()

 女への信頼に対する一抹の不安を口にする同志達に、「1,」は短く明瞭に答えた。

「それ相応の理由がある。信じるのだ。そして互いが本当に信じられる新世界にするためには双方の信頼関係がいかにも必要なのだ」

「1,」の言葉はいつも力強い。皆が頷いて女を見ると、拳をぐっと握って力強く頷くのが見えた。

程なく全員が彼女の家から退去した。

女の管理下に置かれることになったその男は、女の指示通り動くことを抵抗もせず疑問もないようだった。

「自宅にタクシーで帰宅し、シャワーを浴びたり食事をしたり睡眠をとったりして、身体を休めない。それから私が迎えに行く朝10時までに支度を済ませておきなさい」

 「はい」と言うと、男が先ず初めにしたのは、胸ポケットから極小さなイヤホン型の携帯電話を取り出して耳に取りつけて、タクシーを呼んだことだった。

「よろしい。その調子で頼んだわ」

と、行動の結果を言い付ければ、自力で途中を補う能力があることに満足気に女は微笑んだ。

「容姿は抜群だったけど、とんだ痴れ者だったわ。今のように従順な方がまだ優秀な人材に見えるわね」

 女の口調はどこまでも辛辣だったが、次にその唇を動かした時には、ほんのりと温か味があった。

「1.、貴方が復讐という形態で私の想いに応えてくれないことは分かっている。貴方が止めてくれなければ、自分の手を汚してたけど。でも、私の受けた痛みを、いつかあいつらが真の痛みとして感じるようにしてくれると信じているわ。父さん、母さん、私はきっと彼等とやりとげるから、見ていてね」

 

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2015年3月 6日 (金)

でいりーよみもの「新世界物語」7

おはよーございます

普通のブログならとても毎日は無理ですが、小説は想像の世界♪
頑張れてます(*^_^*)  文末のバナーにぽちっとよろしくぃ~

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話()

 強硬な議員達を羊化したのは、彼等が新世界を築くための最初の行動だった。

 何しろ彼等には、そいつらをそう扱う権利があるはずだった。美容目的に開発された技術を都合よく進化させ、彼等に告知することなく容赦なく使い、奴隷化したのはそいつらだったのだから。初期の段階ではそいつらを全て消滅させて新しく世界を構築すべきだという意見が大勢を占めていた。

だが、1,だけは、「,」をつけて、希望を遺してくれた開発者の真意をもっと熟考するよう、皆を説得した。その時の言葉は、今の世界政府の信条のひとつとなった。

「我々はいかなる人も殺さない。犯罪者であれ侵略者であれ、その人格に影響を与えることはあっても命を奪うことは決してしない。それは野蛮で未開拓な行為であり、新世界人の誇るべき行為ではないからである」

頭では納得できても、されたことの命を冒涜しているとしか思えない行為を忘れることはできない。だから今もやつらの従順な姿を見ても、殺さないだけでも有難いと思ってもらいたものだと、彼等の誰もが思っていた。

当然、羊化した奴等も、事が為されれば、羊化の度合いを人間らしい程度に戻すべきだと言う「1,」の主張もどこまで賛同を得られるか今のところは分からない。

そういう影達のあやうさを、賢い女が感じ取っていないはずもなかったし、未来に起こることを想像していないはずもなかった。それでも、影に力を貸すと誓った。

だから、皆口々に、「男と同じ側の女が裏切らないとは限らない」「やつらのスパイでないと、なぜ言えるのか」と「1,」に問わずにはおれなかった。

「1,」の答えはまた、女の信念ともなった。

 

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2015年3月 5日 (木)

でいりーよみもの「新世界物語」6

どうでしょ?興味を持って頂けてますでしょか?

また、図々しいですが文末のバナーをぽちっとお願いね

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話()

「さて、君には私達のマリオネットになってもらう。これから色々なことを実行に移していくが、君の協力が不可欠でね。ともかく私の頼みは必ずきいてもらうよ。そのために彼女の指示は順守して欲しい」

「はい、承知しました」

 いつも尊大に構え周囲に不快さを振りまいて、支配層の皆からも敬遠されがちだった男が、この時彼に対しては極めて従順に応対していた。

「羊化は、うまく行っているようですね。ただ、定期的に確認を必要としますので、一人技術者を貴女のお傍においておきますから、うまくやって下さい」

「ええ、彼女ね。よろしく」

 軽く屈んで手を差し出すと、女の影は握手するのももどかしげに早口に告げた。

「技術的には私がフォローできますが、普段のこの男の態度ややり方にはどうしても不自然なことが出てきてしまうでしょうから、その辺は貴女のフォローが重要になります」

「ええ、分かってます。ただ、家庭でのことは……」

「心配するな。そちらも既に別働隊が同様の手を打っている。羊達となって、これと共に私達の隠れ蓑になってくれるだろう」

「もし、誰かに気付かれたらどうするのですか」

「それも心配するな。私達は現世界を支配している者達のように、安易に命を奪ったりはしない。事が為された後のこともちゃんと考えているから安心しなさい」

 意志の強い瞳で影を見詰めながら、女の脳裏には、

この男を1人目として、強硬派と言われる議員達即ち市政の4分の1が同じ方法で制圧されている様子がありありと思い浮かんでいた。

 

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2015年3月 4日 (水)

でいりーよみもの「新世界物語」5

またまた、文末バナーをぽちっとしてね♪

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話()

 男が503号室に吸い込まれたタイミングで、エレベーターがもう1機5階に止まった。滑るように排出された2つの影は、廊下の壁に沿って移動した。

 年の若い方の影が、インターホンには目もくれずに、扉についた指紋認証キーに手を載せると扉はほとんど音を立てずに開いた。

 ドアノブに手をかけて扉が開き切らないように抑えながら2つの影は25㎝ほどの隙間に身体を滑り込ませると、そっと後ろ手に扉を閉めたまま室内を窺った。

「お待ちになって。ワインをお持ちしますから」

「極上なのか?」

「もちろんですわ。貴方に似つかわしいモノをワイナリーから取り寄せましたの」

「そうか?」

と、男がリビングのソファにどさりと腰を掛ける音がした。

 慌ててはならない。仕込まれたワインをしたたか飲むのを待って、獲物を仕留めるハンターの如く身を顰めた。

 どのくらい経っただろうか。女の乾いた唇が動いた。

「確実に夢の国に入ったわ」

部屋に潜伏する影達の耳に静かに響いた。と同時にあちらこちらから影達は立ち上がり、男を取り囲んだ。

1人目が男の口にボンベのようなものを当て「念のため」と言った。2人目が拳銃のような形をしているが、ボタンが幾つかついていて、先に針が仕込まれた道具を出すと、全員の緊張した視線が集まった。

支配する側が常に一枚岩などということは歴史上ないだろう。大抵正義感や常識に優れた者が支配される側に加担したりする。女は、支配者側にとっては裏切り者となったが、影達にとっては協力者であった。

 

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2015年3月 3日 (火)

でいりーよみもの「新世界物語」4

よろしければ、読後に文末のアルファポリスのバナーを

ぽちっと押して下さいましねc(>ω<)ゞ

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話()

 男は、エレベーターに乗り込むと5階のマークに触れた。階数表示の反対側の壁に設置された姿見に、ちらりと目をやった。自分で言うのもなんだが、洗練されたダンディな男が映っていた。なびかない女はいないとさえ思っていた。今5階に住まわせている女も、ついこの間まではただの秘書の1人だった。

 以前から、上品な物腰や柔らかな言葉遣い、程良い肉づきにくびれた腰や緩やかに巻いた栗毛が甚く気になっていたし、女からも微かに気のあるそぶりを感じていた。しかし、完璧なスケジューリングと手配力、数ヶ国語操る有能さを重んじて、こうした関係になることを避けるだけの常識はあるつもりだった。

 それが、3ヶ月ほど前のパーティに彼女を伴って行ったところ、食べ合わせなのか飲み合わせなのか、悪酔いしてしまい、彼女の自宅にやっかいになってしまった。

 成り行きではあったが、男女関係に番狂わせはありがちだと、これっぽちも後悔はしていなかった。

 女にあてがったこのマンションは、高級ゆえに大型の高層であっても、ひとつの階に5軒ほどがあるのみで、玄関と玄関と間隔はかなり長かった。

 エレベーターを降りた男は、西に向かって10mも歩いただろうか、扉の正面に立たなくては表札がくっきりとは見えないが、慣れた様子で目当ての扉の前に立つと、インターホンに手をかざした。

「どうぞお入りください」

女の落ち着いた声が聞こえると同時に、扉が外側に向かって開いた。室内のそこここに潜む影の気配に少しも気がつかず、リビングへと直行し鷹揚に女の腰を引き寄せた。

 

 

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2015年3月 2日 (月)

でいりーよみもの「新世界物語」3

ご訪問ありがとうございます(*^_^*)

読んで、もしもよろしければ文末のバナーにぽちっとヨロシクお願いします
(=゚ω゚)ノ o(_ _)oペコッ

新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話()

車の上部に舞い降りた2人は、先が小さく曲がった細い鉄の棒を左右両手で持つと、フロントガラスの上部の僅かな隙間に引っかけ、身体を伸ばした。

その駐車場の防犯カメラには既に仕掛けがしてあるから、不安はない。そうでなくても夜目遠目に、車の天板の2つの影を確認しようという者は、この安心しきった時代にいるとも思えなかったが、車の主が市政の重鎮であることを思えば、用心に越したことはない。

運転手が静かに車の速度に負荷をかけ始めたのを合図に、2つの影はつと車列の陰にその身を顰めた。

遠目に、長身の男と平伏する運転手の様子を見ながら、小さく会話した。

「よく耐えているな。ああなる前の彼なら、仲間に入れようなどとは思わなかったかもしれないが、いざコンマを起動させてみたら、意外だったな」

「はい、今は下を向いていて分かりませんが、車内でも無表情を保って、彼奴に気付かせなかったようですね」

「車の始末も上手くやってくれそうだな。むう、動くぞ」

「予定通り室内に待機したとの連絡が」

「よし、階段で上がるぞ」

「503号室です」

 極めて周到に予定を遂行していく様は、高度なプロ集団を思わせた。5階までの足どりも、徹頭徹尾リズムが狂うことなく、訓練の行き届いた兵士のようであった。しかし、彼等はそうした特殊な技能を備えた者の集まりではなかった。ただ、強い志の下に集まったことは確かではあったが。

 若い同志に止まれの合図で挙げた左腕には、幾つもの0の後に「1,(いちコンマ)」となった印が見えた。

 

 

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2015年3月 1日 (日)

でいりーよみもの「新世界物語」2

ご訪問ありがとうございます。

小説を連載中ですので、

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新世界物語

作:二ツ木 斗真

始まりの話()

 運転手にはハンドルから僅かな衝撃が伝わって、予定が現実になろうとしていることが理解できた。ミラー越しに後部席の主人をちらりと見上げたが、憂鬱そうな表情が少し前と変わりないことに安心して、普段そうであるように抑揚のない調子で声をかけた。

「ボス、間もなく目的地に着きます。駐車するのは地下でよろしいですか」

「よい。そうせよ」

と、不服そうに答えた主人は、続けて呟いた。

「こんなことすら指示せねばならぬとは面倒だな。だが、致し方あるまい。以前のこれの方が使いようがあったけれど、判断できるほどの智恵があっては、意味がない」

運転手の耳にも届いていることなど、ほんの欠片も配慮するつもりのない主人の呟きは、その上品そうな服装からは考えられないほど、下卑た毒をまき散らした。

運転手は、車を停めると直ぐ運転席から降り、後部ドアをすぃっと開いて恭しくお辞儀した。腰を折ると上から見下ろす主の足が巨大に見えて、蹴り上げられないかと恐怖心が湧いてくるけれど、そうした感情もあってはならない。幸いに頑なにその姿勢のままいると、「待て」と命じた主の靴がくるりと方向を変えた。よく磨き上げられた靴を追う目の端に、2つの影が動くのが見えた。

それから、姿勢を正すと主人の背が扉に消えたのを確認し、運転手は徐ろに運転席に戻り発進させた。

その駐車場に戻るつもりは全くなかった。戻っても意味がないことを確信していた。

安穏としていられるのは誤解と思い込みとを前提にしているに過ぎないと知らぬまま、主人は本性を失った。

 

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